バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
今回は、2年後に社長に就任することが内定している後継予定者からの質問に答えていきます。

経営セミナーは後継経営者の「経営の勉強」に最適か?

昨年、とある金融機関系シンクタンクで「経営基礎力養成講座」というタイトルで、私が講師を務めました。
そのとき、受講していただいていたのが彼でした。

その彼からの質問が
「いずれ会社を継ぐことになるが、後継者として何から勉強したらいいのか分からない」
というもの。

彼は、これまでも経営系セミナー、後継者向けの勉強会に何度か参加して、来たるべき社長就任に向けて準備を進めていました。
ただ、どれもピンとこなかったそうです。

セミナー会社のタイトルを見渡すと…

経営者のための決算書の読み方
後継者が知っておくべき会社法の基礎
経営に役立つDX入門

などなど、経営者向けのセミナーは多岐に渡ります。
経営者として、会計や法律は最低限知っておく必要はあります。DXは経営者のみならず、これからのビジネスパーソンには必須のトレンドです。

京セラの創業者でJALの再建にも尽力された、稲盛和夫氏は
「会計を知らずして経営ができるか」
という言葉を残されています。

確かに、その通りだと思います。
会計を知らない、決算書に何が書いてある内容が分からないでは、経営にはなりません。

ただ間違ってはいけないのは「会計だけ分かっていても経営はできない」ということです。
稲盛氏がおっしゃった言葉を拡大解釈して「会計さえ分かっていれば経営はできる」と勘違いしているようにも思える言動をする、税理士や会計士をこれまでたくさん見てきました。

中小企業の社長のもっとも身近な専門家である「先生」が、このような考えているとしたら経営者が路頭に迷ってしまいます。
これは、弁護士が法律を語るときも同じです。

後継経営者が始めに学ぶべきこと

では、何から始めるべきか?

後継者としての信念や信条を言葉にしてまとめること。
自分は何にこだわり、社会に何をもたらす存在なのか、を文字にすることから始めてください。

私には、経営に関する勉強をいくらしても、実際に社長になって経営すること以上に、経営を学ぶことにはならないという持論があります。
つまり、経営は実践ですので、一般論ばかり学んでいてもピンとこないのは当然のこと。

自身が社長になった際に、どんな会社を目指すのか、どんな事業を展開するのか、どんな組織をつくり、どんな人と一緒にやるのか、をイメージしながらどんどんアウトプットしていく方が余程経営の勉強になるはず。

それらの根本となるのは、後継者自身の信念や信条。
私は、これを「コアコンセプト」と呼んでいます。

だから、何から始めるべきかと問われれば、「コアコンセプトから!」ということになります。
ただ、無知は損失につながるので、汎用的な予備知識も蓄えてくださいね。