バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。

年末まであと少し。

年の瀬は、この時期だからこそのやることが増えます。

代表的なものが大掃除。

ただ、この大掃除が、寒い時期にやるから億劫になる。

今年は、正月を新たな気持ちで迎えるという気分的なものを捨て、一年間の汚れをとるという実質的なものを優先することにしました。

ということで、会社でも自宅でも大掃除は10月に済ませました。

何の疑いもなくしていることを、たまには見直すことも必要ですね。

さて、本日は「視座を高めて目線を下ろす」について。

幹部の意識が高まらないそもそもの原因

先日、お客さまの後継社長を訪ねたところ、「幹部の意識が高まらない」との相談を受けました。

現場のことには精通していても、会社全体、経営レベルでの話ができない、というもの。

このようなことは、他の経営者からもよく聞くことです。

どこに原因があるのかを探ってみます。

一つは、そもそも幹部の視座が低いということ。

人には向き不向きがあるので、経営的な視点・視座が持てる人もいれば、現場の実務に長けている人もいます。

経営者と管理職、一般の社員とでは、求められる素養も違ってくるので、現場の仕事ができる人が経営ができるかといわれれば、必ずしもそうではありません。

逆もまた然り。

どちらが上か下かではなく、幹部としての素養がないために高い視座が備わっていないということです。

役割・環境の違いが視座を低くする

次は、環境が視座を低くしているということ。

経営者になれば、大局でものを考える必要が出てきます。

また、期限が短い実務レベルの仕事は社員に任せるため、短期的な思考になりにくいのが経営者。

一方、中小企業の場合、幹部であっても細かい作業レベルの仕事も少なからずこなしています。

そうなるとどうしても視野が狭くなり、視点も近視眼的になり、結果、視座も高まらないということになります。

高まった結果として視座が低く見えてしまう

そして、これが私の結論。

幹部の視座が高まっていないのではなく、社長の視座がさらに高まっただけというもの。

経営は実践です。

後継者としていくら経営の勉強をしてきても、実際に社長になって経営しないことには経営力は高まりません。

前回のこのブログ2021年12月3日号で紹介した『後継社長が組織を変えるためのヒント~ポストを与えれば人は成長するのか?』では、ポストを与えても人は成長しないと伝えましたが、これは幹部や管理職の話。

社長は別です。

副社長や専務をしているうちは、ポストを与えられる身です。

それだけでは、人は育ちません。

しかし、社長は、名実ともに最後の砦。

会社のトップとして切った張ったを繰り返すうちに、自分では気づかないうちに視座が高まっているということです。

幹部の視座が上がっていたとしても、社長の視座がさらに上にいっているため、幹部の視座が低く見えてしまうだけだということです。

冒頭の後継社長には、上記のことをお伝えして、社長自身の視座を下げる必要はないが、たまには幹部や社員のところまで目線を下げる必要があると伝えました。

意識を高めて欲しいと期待しているだけでは、裏切られることも多いはず。

幹部や社員には高いレベルでの期待をしつつも、時としてそれぞれの目線に合わせた課題設定が必要となってきます。