バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
東京五輪が終わりました。
メダルラッシュには感動しきりでしたが、“外野”でもメダルの話題がありましたね。
名古屋の河村たかし市長が、メダルをかじっちゃったというあれ。
確かに行為には問題があると思いますが、最近の報道は過剰に当事者を責め立てる。
ご本人が反省していないならいざ知らず、十分に反省しているように見えるので勘弁してあげて、と思っているのは、私だけでしょうか…
さて、今日は、先代社長とのコミュニケーションについてお伝えいたします。
先代社長とのコミュニケーションの目的とは?
後継者支援をしていると、先代社長とのコミュニケーションに悩む後継社長から質問を受けることがあります。
先代社長は後継社長に引き継いだ後も、会長として残るケースが大半です。
その会長とどのようにコミュニケーションをとるべきか、と…。
私は、「内容よりも回数を!」と答えています。
会長に退いても会社に毎日来るような先代とは、週に1回以上、あまり会社に顔を出さなかったり、役職に就かず隠居していても最低月1回以上は、コミュニケーションの場を設定するよう助言しています。
しっかりと権限委譲した先代は、会長になった途端、暇になるはず。
経営者というポジションに慣れた人は、自分以外の誰か、この場合後継社長に社内外の注目が集まるようになると、自然と寂しい思いをしてしまうようです。
もちろん、そんな弱みを見せる人は少ないでしょうが…。
会長と多くのコミュニケーションの場を設定するということは、相手を尊重しているという意思表示になります。
後継社長の意思決定も普段考えていることも、また悩んでいることも、会長である先代に一番先に話しているという“事実”をつくるということです。
このような時、会長からは、意見や苦言が出ることもありますが、「そうですね」と受け止めてさえすればいいと思います。
真に受けて意思決定を変える必要はありません。
なぜなら、責任をとれるのは後継社長だけなので。
ただ、先代の意見を聞いたという事実が大事なのです。
そうでないと、後継社長のいないところで、あることないことが始まりますから。
コミュニケーションを「型」にする
大事なのは、あくまでも「場」の設定。
たとえば、毎週月曜日の朝8時から、コーヒーを飲みながら懇談する。
重要な議題がない日も週末に何していたかを話せばいいのです。
先代が隠居している場合でも、月1回は会食する。
私の後継者時代、四半期に一度、3〜4ヵ月に一回は先代と食事などのコミュニケーションをとっていました。
当時は、それで十分だと思っていました。
しかし、私が独立して挨拶にいった先の、私が尊敬する経営者から「なんで最低月1回でもちゃんと報告しなかったんだ」とお叱りを受けました。
その時思い出したのは、大和ハウス工業の中興の祖といわれる樋口武男氏の著書「熱湯経営」。
その中で、後継社長としての樋口氏は、病床の創業社長に毎月会社の状況が分かる書類を持参して報告に行っていた、と記されていました。
本での学びを実践できていなかったことを反省しました。
後継社長は、努めて先代社長とコミュニケーションをとってください。
内容よりも回数!
先代を尊敬する気持ちよりも、頻繁な声がけ、話す場の設定という“型”にこだわってください。