バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
ここ数年、正月は箱根駅伝を見て過ごします。
仲間にタスキをつなぐために一生懸命走る姿そのものに勇気をもらうことができますが、実況で学生のバックグラウンドを聞かされると、さらなる感動を覚えます。
当社では、後継社長の想いをその背景やエピソードを交えて社員に伝えるお手伝いをしています。
テレビを見ながら、普段お客さまに伝えていることに間違いはないと確信ができました。
さて本日は、失敗する組織改革について考えていきます。
引き継いだあとに着手する改革
当社では、事業承継を終えた後継社長の組織づくりを支援しています。
事業承継における最大の変化は、社長が変わることです。
仮に親子であっても、人が変われば考え方は違って当然です。
意欲的な後継社長ほど、自分の色を出したがります。
会社は人の集まりであり、重要な意思決定は社長だけしかできないという点から、会社は社長そのものだという持論を持っていますので、後継社長が自分らしく経営していくことに大賛成です。
しかし、後継社長が改革を早急に進めれば進めるほど、うまくいかないケースをたくさん見てきました。
うまくいかない理由を端的に述べると、制度やルール、仕組みだけを取り入れるということです。
後継社長によくあるのが、就任直後に人事制度を整備するというもの。
昭和を生き平成という時代に経営してきた先代社長は、好き嫌いで評価してきました。
私は、好き嫌いで評価すること自体は理に適っているとは思いますが…
それを公平公正を期すため、人事や評価の制度をつくり直します。
また、企業文化を一新するための新卒採用の実施や、行動指針をまとめてクレドカードを作成するなど、さまざまな組織改革に乗り出します。
かくいう私もその一人です。
前職で後継社長として就任した際には、私も一通りのことをしました。
ただ、これらがうまくいかない。
なぜか?
組織のハード面だけ変えてもうまくいかない理由
それは制度やルールなどのハード面を固めても、運用する人や組織に流れる空気が変わっていないからです。
仮に「9時から朝礼を始める」という決め事があったとしても、9時になってやっと動き出す、中には遅れてくる人もいる。
また、これに対して、誰も注意しない、時間が過ぎていてもなんとなく始まってしまう、では、制度やルールもただのお飾りです。
これが組織がつくる空気です。
先代の頃から脈々と引き継がれてきた悪しき習慣なのです。
ディズニーランドで最高のおもてなしをしてくれるキャストの皆さんは、他の会社で働く時には、そのおもてなしを発揮できないそうです。
ディズニーランドという夢の国に流れる空気が、キャストにおもてなしをさせるというのです。
組織の空気をつくるのは、人であり、社員同士の関係性であり、コミュニケーションです。
ハード面ならぬソフト面です。
私は、上記に挙げた制度や仕組みを否定しているのではありません。
それらだけ整備しても運用する人たちの考え方や取組みの姿勢が変わらなければ意味をなさないと言っているのです。
失敗する組織改革とは、ハード面だけを整備すること。
ソフト面の充実も並行して施策を実行していきましょう。
また、先代の影響が染みついた会社は「急いで急がず」のスタンスも必要です。