バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
気がつけば、今年もあと1ヵ月。
これまでは夕方に、コロナの感染者数を確認して一喜一憂するのが日課となっていましたが、最近は翌朝の情報番組で知るくらいになりました。
日が経つにつれ、関心事も変化していきますね。
年末で一区切りという心境になりがちですが、コロナで停滞していたものを取り戻すために来年に向けて切れ目なく準備をしていきたいものです。
さて、今日は方向性について。
会社の方向性を示すという仕事
社長の最も重要な仕事の一つは、会社の方向性を示すこと。
社長が示した方向性を理解し、すべての社員がそちらに向いていると強い組織になります。
そのために必要なことは社内での共通認識をとること。
共通認識が取れている状態とは、共通目標を持ち、共通言語でコミュニケーションができている状態で、社内で共通感情が醸成されていること。
こちらの2021年10月8日号『後継社長が幹部・社員と共通認識をとるために重要なこととは?』で詳しく紹介していますので参考にしてください。
ところで、なぜ社長が示す方向性にすべての社員が向いていることが好ましい状態といえるのでしょうか?
良いところを組み合わせる
こちらをご覧いただいている後継社長の皆さんの会社は、ほとんどが中小企業です。
そこに集う社員は、大企業と比べて、履歴書に記される経歴は相対的に見劣るものです。
だからといって、それらの人たちが使い物にならないかというと、それは「NO」です。
どこか良いところがあったからこそ採用したはず。
「猫の手を借りたい」と言っても、実際に猫を雇う社長はいないわけで、何かの基準で選別しながら採用しているわけです。
それらの社員の良いところを組み合わせて最高のパフォーマンスを上げていくのが社長の仕事ともいえます。
10年ほど前にバラエティー番組で、綱引きの企画がありました。
40〜50代の女性のチームと、筋骨隆々のプロレスラーのチームが対戦するというもの。
女性チームは全国大会で優勝した実績のチームですが、相手は男性、プロレスラーで皆100キロ超えの巨漢ばかり。
女性チームの体重は公表されていないものの、おそらく倍以上はあったはず。
また、一対一で腕相撲をすれば、プロレスラーに敵う女子選手はいませんでした。
同じ人数で対戦です。
結果は、女性チームの圧勝。
何度対戦してもプロレスラーのチームは勝てませんでした。
女性チームは、プロレスラーに比べて力は弱いものの、同じタイミング、同じ方向に一矢乱れず綱を引いていました。
一方、プロレスラーのチームは、丸太のような腕に血管が浮き出るほどの力で引っ張っていますが、引っ張る方向がマチマチのためか全体的にチグハグ。
力が強い分、お互いの力を消しあっているように見えました。
「掛け算」で勝つ
このように一人ひとりの力量が高くとも、それらが同じ方向を向いていなければ、チームとしての力を最大化できません。
しかし、一対一では劣っていても、良いところを組み合わせれば相乗効果が生まれます。
足し算では負けても、掛け算で勝てるということです。
これこそチーム、つまり、組織で戦う意味です。
会社で同じ方向に向かうために必要なことは、共通目標を掲げること。
言語化、数値化して、解釈の余地を極力狭めていくことが大事になってきます。
これが、会社において方向性を示すことになります。
そして、これは社長の仕事です。
社員の能力の足し算では微力でも、掛け算であれば勝てる可能性が高まります。
その出発点は、社長が方向性を示すこと、つまり、共通目標を掲げることになります。
まずは、できることから始めていきましょう!