バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
緊急事態宣言が解除され、外に出る機会が多くなりました。
新宿も人が多くなってきたように思います。
そこでデパートの店員に文句を言っているおばちゃんを見かけた30秒後に、ラーメン屋の店長に罵声を浴びせるおっさんが目に入ってきました。
久しぶりに街に出て、これまでの鬱憤を晴らしているように感じるほどでした。
そこまで腹が立ったことって、どんなことだったんでしょうね?
さて、気を取り直して、今日は、専門家の意見について。
専門家がすべき提言とは?
我が家の中一になる長男は、3年前から歯の矯正をしています。
上の前歯が下の歯より奥に入った状態だったため、治療することにしました。
治療開始から1〜2ヵ月に一回、定期的に診てもらっています。
ここ一年くらいは、素人目には歯並びはキレイになっていました。
先生も「あと1回か2回くらいで…」を繰り返していました。
正直なところ、いつ終わるのかな?と思っていました。
数千円ではありますが、毎月のこととなると負担も小さくないので。
いつもは妻が連れていくのですが、先日は私が付き添うことになりました。
妻からは「前回、先生が年内で終われるかも、と言っていた」と言われ、終了時期を確認することにもなっていました。
当事者の息子が治療室に入り、一通りの施術が終わった後に、私が呼ばれました。
「ここまでキレイになれば、もういいでしょう!」の言葉を期待していたら、
「だいぶ良くなったけど、まだ下の歯の隙間がある」
「生え変わっていない歯がどうなるか…」
という話になりました。
ふんふん、と聞いていたら、先生がつづけて、
「子供も治療の範囲でできるのは、ここまで」
「これ以上になると大人の治療になる」
「ブランクが空いても差額しかいただきません」
そして、しまいには、
「検討して返事をください」と…。
おいおい、とは心でつぶやきながらも、感情を抑えて次のように伝えました。
「親心としては、折角だからできうる限りキレイになるまでつづけてやりたい」
「でも、本人は面倒だから外したいと言っていて、早く開放してやりたい気持ちもある」
「プロとして素人にも判断しやすいように、何らかの指針を出して欲しい」と。
治療の内容や値段の説明をされても、専門外のことなので正直よく分かりません。
値切って負けてくれるもんでもないでしょうし。
それより、
「ここまでやれば、日常生活に支障がないので、これで大丈夫!」
「あと3ヵ月あれば、下の歯の隙間もキレイになるから、それまで継続してください」
と、先生の個人的な見解で構わないので、素人でも判断できる材料が欲しかっただけなのです。
3年前に矯正治療を申し込んだ時点で、その先生を信用、信頼しているわけですから。
専門家の「役割」
これに限らず、私は、仕事でもこれまで多くの専門家といわれる人に会ってきました。
難しい国家試験を通り、「〜士」「〜師」という社会的な地位が高い方々です。
私がいうには、優秀な専門家は、リスクや負担も提示した上で、お客さまの背中を押す提案ができます。
一方、肩書きだけの専門家は、自身がリスクを負いたくないので無難な商品説明などに終始し、判断は素人であるお客さまに委ねます。
これは、私が定義するところの“人間力”の有無です。
専門家からお客さまへ影響を与えるだけでなく行動変容まで起こせるかどうか。
ここまでくると、専門家の意見というものは、何を言うかより誰が言うかなのかもしれません。
私は、資格こそ有しないものの、後継社長を対象とした組織づくりの専門家です。
「他社ではこのような事例がある」
「一般的にはこう考える」
というようなネットでも収集できる情報を伝えるだけでなく、
「私が社長なら、こうする!」
と自信をもって伝えられる専門家であり続けないといけないと思わされる出来事でした。
仕事の現場だけでなく、日常からも学ぶことが多いですね。
後継社長の皆さんも専門家を選定する際には、肩書きに惑わされず、ちゃんと専門家としての意見を聞いて判断してください。
ところで、私の歯医者の先生に対する“進言”は、気が狂ったおっさんのようにはなっていなかっただろうか…。