バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。

今週は、新刊の出版記念のオンラインセミナー、音声コンテンツの取材、対面でのコンサルティング、原稿書きと、物理的に忙しい一週間でした。

オンラインセミナーにも20名ほどの方が参加してくれました。

お顔が拝見できないのが残念でしたが、たくさんのご質問をいただき、楽しい時間を過ごせました。

匿名であるためか、忖度なしのストレートなご質問も多く、回答に悩むものもありましたが、私自身が考えるきっかけをいただいたような気がしています。

また、このような機会があれば、たくさんの方々に参加して欲しいと思います。

なお、オンラインセミナーは当日時間が合わなかったというお声をいただいたので、後ほど配信を予定しています。

経営者の「忙しさ」

さて、今日は経営者の時間の使い方について。

冒頭で、今週は物理的に忙しかったとお伝えしましたが、果たして経営者は物理的に忙しくしていて、いいのでしょうか?

答えは「NO」です。

経営者は、脳みそはフル稼働、24時間365日休みなしで働くべきです。

ただ、手足を動かす物理的な時間は極力排除するのが理想です。

私は、今から5年ほど前までは、昼間のスケジュールは一杯、夜も毎日会食。

前職で社長に就任した初年度は、平日に自宅で食事したのは、たったの3日。

忙しいことを誇らしいとも思っていました。

その頃、前職からの同志で今も私を支えてくれている、当社取締役の坂本義和が、私のスケジュールを見ながら、一言。

「浅野さんは、いつ考える時間を取っているんですか?」と。

まったく想定していない発言に、一瞬言葉を失いました。

同じような場面で、他の社員は「お忙しくて大変ですね」と、声がけしてくれていました。

心の内では「お前、忙しそうにしているだけで何も仕事してねーな」と思われていたと思うと、ゾーっとします。

その頃から、経営者に向けてのセミナーでは、

経営者は経営の時間をとること。

社員からは暇そうに見えているくらいがいい。

経営者の仕事は考えることだから。

と力説していました。

本当に恥ずかしい。

言っている自分が、時間に追われ、手足を動かしている状態でしたので。

先代社長の仕事の仕方を踏襲すべきか?

当時、私は後継社長という立場でした。

私自身もそうでしたが、多くの後継社長も先代社長の仕事の仕方が、社長の仕事だという思い込みがあります。

先代社長、特に、創業社長であれば、2〜3人で起業したばかりの頃は、手足を動かし必死です。

それが染み付いているせいか、会社が大きくなっても自ら物理的に動く創業社長が多いように見受けられます。

先代がよく動く会社では、代替わりしても社員は同じ目線で後継社長を“監視”します。

手足を動かさず、考え事をしているとサボっているように見られるのです。

後継社長は、先代社長の“振る舞い”次第では、何もしない時間を確保して考える時間に充てることは、難しい面もあると思います。

当時の私は、社内共有のカレンダーには「Conception Time」というスケジュールを入れていました。

正直、意味不明な点はありますが、社長のスケジュールに入っていると社員は勝手に重要な仕事をしていると思ってくれていました。

今現在、当社think shift(シンクシフト)では、役員や幹部が、私の物理的な時間を空けようとサポートしてくれます。

冒頭の物理的な仕事は、代表しかできない仕事ばかりです。

こちらをご覧いただいている経営者、特に後継社長の方は、会社の前例のとらわれず、意図的に考える時間を確保することをオススメします。