バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。

先日の松山英樹選手のマスターズ優勝に続き、今週もビッグニュース。

19歳、笹生優香選手の全米女子オープン優勝。

これまで日本人がなし得なかったことに果敢に挑戦し、結果を残すことは本当にスゴイことです。

さて、このような日本人の快挙が続いているので、今日は「心理的障壁」についてお話します。

しがらみに苦しむ原因とは?

後継経営者を支援していると、多くのしがらみに苦しんでいる場面にぶち当たります。

ところで、このしがらみを漢字で書くことはできますか?

しがらみは「柵」と書きます。

改めて意味を調べてみると

⑴水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの。

⑵引き留め、まとわりつくもの。じゃまをするもの。

多くの後継経営者が感じているものは、⑵になります。

新しいことをしようとすれば、先代の目が気になり、また、古参の社員の抵抗が想定される、という状況です。

果たして、これらは先代社長や社員側の問題なのでしょうか?

以前、世界陸上400メートルハードルの銅メダリストである為末大さんの講演を聞く機会がありました。

「1マイル4分の壁」という話。

内容は…

1950年代に活躍したロジャー・バニスターというイギリスの陸上選手がいました。

彼は当時達成不可能と言われていた1マイル4分の壁を、1954年5月6日に人類で初めて突破しました。

タイムは3分59秒4。

10年近く破られなかった世界記録を更新したのです。

驚くのは、ロジャー・バニスターが記録を打ち立てた、わずか46日後に別の選手が3分58秒0という記録を出したこと。

さらに、ロジャー・バニスターが記録を樹立してから一年の間に23人もの選手が4分を切ったのです。

これは何を意味するのでしょうか?

4分を切ることは不可能という思い込みの中で走ることと、4分を切ることが可能だと思って走ることの違いです。

最初に4分を切るという記録を出したバニスターは自分を信じて走り、追随した選手は「彼がやれるのだから、自分も!」と思って走ったのではないでしょうか?

心理的な障壁を取っ払った瞬間に、今までたどり着けなかったものにたどり着いたのです。

先日、100メートルで10秒を切る日本記録を打ち立てた山縣選手も、日本人としてはじめて10秒を切った桐生選手の影響を少なからず受けていたはずです。

経営のタブーをつくり出しているのは?

話を戻して、後継経営者が持つしがらみ。

これは先代社長や社員という抵抗勢力がもたらすものではなく、きっと後継者自身の内なるものがつくり出しているのです。

私自身も後継者として経営していた頃、タブー視していたものがたくさんありました。

たとえば、経営理念には手をつけられないという思い込みは、自分自身でつくり出していたのです。

もちろん、実際に経営理念の改訂に着手すれば、批判する人もいたのも事実です。

しかし、やってしまえば、できないことはなかったのです。

何事もやる前から「無理だ」「難しい」と思っていては、何事も成し遂げることはできません。

後継経営者がしがらみをすべて取っ払って、会社の将来をイメージすると自身の新たな可能性に気づくかもしれません。

今まで考えつかなかった大きな目標を設定できるかもしれません。

後継経営者には、行動する前からの過度な思い込みを捨て、大きなビジョンを描いて欲しいものです。