バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
コロナ禍で2度目のゴールデンウィーク。
昨年の今頃は、今思えば、精神的に病んでいましたね。
その一年前の2019年の春は、社長を“クビ”になり、「さぁ、これから!」と思っていた矢先の2020年は緊急事態宣言。
「なんで俺ばっかり…」と思ったのも正直なところ。
一人でいるとやる気がおきず、慣れないオンライン会議で人と話すと元気が出て、の繰り返し。
あのままだったら会社は続けられていなかったかもしれません。
あれからまた一年、この環境に“麻痺”したのか“免疫”ができたのかは別にして、今年のゴールデンウィークは“良い加減”の心地よい日々を過ごしています。
皆さんは、緊急事態宣言下の連休をどのようにお過ごしでしたしょうか?
さて、本日は引き継いだ会社の「企業風土」についてお伝えいたします。
最初に着手しがちな改革
先代から会社を引き継いだ後継経営者が、承継後に最初に手をつけがちなのが風土改革。
学校を出てすぐに親の会社に入った後継者は、親の会社が基準になりますので、風土そのものにそこまで違和感を覚えることはないのかもしれません。
一方で、別の会社を経験した後継者は、そのギャップに悩むことがい多いようです。
ベンチャー企業を経験していればスピード感のなさに絶望し、大企業の出身であれば常識のなさに頭を抱えます。
そこで、後継者が引き継ぐ前の役員専務時代から温めていたものを、社長就任と同時に実行していきます。
人事制度の構築、幹部教育、クレドの作成などなど…
後継経営者は、このように自身の存在感を示すために様々な改革を打ち出していきます。
過去の後継経営者としての私も同じようなことをしました。
社外の人たちからは「社長が変わると、会社ってこんなに変わるんだね」という評価をいただきました。
ただ、「変わった」とは言っていただいても「良くなった」とは誰も言ってくれませんでしたが…(笑)
しかし、企業“文化”は少しずつ変わっていきましたが、“風土”は変わりませんでした。
この違いは、何なのでしょうか?
変えられるもの、変わりにくいもの
私は文化と風土を明確に切り分けています。
“文化”は、見た目を変え、行動を変えていけば、徐々に変わっていくものと捉えています。
一方、“風土”は、そこで行われている事業とひもづくものなので、なかなか変えようがない、いや変えてはならない部分もあるのです。
たとえば、元国営企業のJR。
ある地域のJRの社員の方と話をする機会がありました。
鉄道事業部に属していた彼から「斬新なアイデアが出てこない」という一言。
そのとき、「風土は事業とひもづき」という考えが確信に変わりました。
鉄道事業において、斬新なアイデアが必要でしょうか?
鉄道というのは、決まった時間に決まった通りに電車を運行するから、乗客に満足を与えられるものです。
そこに、サプライズフライデーと題して「金曜日は乗っている電車が普通か快速か分からないスリリングな一日」と言われても、通勤や通学で利用している人には迷惑なだけです。
今のJRは鉄道事業にとどまらず、各社多角化を進めていますが、おそらく、いや確実に、鉄道事業とその他民営化後の新規事業のそれぞれに携わる社員の特性は異なるはずです。
大切なお金を預ける銀行員も、堅実な人の方がいいですよね?
話は変わりますが、昨年のゴールデンウィークからハマっているYouTube。
元プロ野球選手の大久保博元さんがやっている「デーブ大久保チャンネル」で、当時の西武ラインズの寮長は、非常に時間に厳しかった、という話がありました。
その寮長は、西武鉄道の出身ということ。
確かに、電車を運行している人が、時間にルーズでは困りますよね。
話を戻して。
このようなことからも、先代から続く事業では、そこに根ざした“土壌”があります。
それが「風土」というものです。
先代から引き継いだ事業をそのまま継続しながら風土を変えていくことは、困難どころか不可能です。
だからといって、あきらめる必要はありません。
後継経営者が、継いだ会社の風土を変えていくには、順番とコツがあります。
順番とコツについてお伝えしているセミナーを定期的に開催しているのですが、そこでの気付きについて次回お伝えします。