バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。

ずいぶん暖かくなってきましたね。

この前の日曜日3月28日に49回目の誕生日を迎えました。
歳をとればとるほど、一年が短く感じます。
50歳という大台に乗るまでの一年間を充実したものにしていきます。

さて、今回は後継経営者の覚悟についてお伝えいたします。

後継経営者には覚悟がない?

後継経営者の支援をしていると、こんな声をよく聞きます。

「2代目は甘っちょろいヤツが多いから大嫌いだ!」
「後継経営者は覚悟が足らないよね」と。

これまで300名以上の後継経営者や後継予定者と直接話をする機会がありました。

確かに、そのなかには
「そんな覚悟で会社が継げるのか?」
「こんな人が社長で大丈夫なのか?」
と思う後継経営者も何人かはいました。

ただ、会社を継いでいる後継経営者の大部分は、覚悟をもって社長を引き継いだと感じられた人たちでした。

当社の支援先でも、3人兄弟(兄妹)の末っ子で会社を継いでいる後継社長が2人います。
2人ともお兄さんやお姉さんがいて、自分は継ぐ予定がなく、親の会社に入る(呼び戻される)までまったく異なる仕事に就いていました。
上の兄弟(兄妹)2人が一旦親の会社に入るものの、もろもろの事情により退職。
想定外の状況で、末っ子にお鉢がまわってきたということです。

昔と違って、今は職業選択の自由が担保されています。
親は継いで欲しいと思っていても、本人がどうしてもやりたくないのであれば、強要することはできません。
断ろうと思えば断れるし、勧めているわけではありませんが逃げてしまえば、親も何もできないはずです。

私の大学時代の友人も、親が会社を経営していました。
友人含め男兄弟3人が一旦会社に入るものの、数年前に血縁関係のない人が社長を引き継ぎました。
今では兄弟3人ともに違う会社で働いています。

このようなことから、私としては、社長を継ぐという決断をしただけで、後継社長には十分な覚悟がある、と考えるのです。

覚悟がないと思われる理由

それでは、なぜ後継経営者は覚悟がないと思われてしまうのか?

覚悟がないわけではなく、覚悟がもち切れない。
覚悟はあるけど、その覚悟を会社にどのように反映させたらいいのか分からない。
というのが私の見解です。

短くとも30年以上の歴史があり、確立されたビジネスモデルもあり、お客さまや社員も先代から引き継ぎ、このようにある程度でき上がっている会社をどのように経営していこうか、と後継経営者は悩んでいます。

でき上がった会社に変化をもたらすことは、ある意味、ゼロから会社を起ち上げるより困難なことでもあります。
先代以前の社長らがつくり上げられたものに、後継経営者の“覚悟”をどのように盛り込んでいくか、が分からないだけなのです。

後継経営者の覚悟をどう示すのか?

創業の精神、先代の想いを守り抜く、とは耳障り良く聞こえますが、何も変えずに守り抜こうとしている限り、後継経営者の覚悟は他人に伝わることはありません。

もちろん後継経営者として、創業の精神や先代の想いをしっかり受け止めることは必要です。
なんでも好きにできる創業者とは違う立場で経営をしなければならないので。

その受け止めたものに後継経営者自身の想いを組み込み、新たな会社にしていくことが、後継経営者の覚悟を社内外に示すことになるのです。

後継経営者の使命は、先代以前の経営者から会社を預かり、成長させて次代(自分の次の経営者)につなぐことです。

ただ、後継経営者である自分が社長でいるうちは、継いだ会社を自分の会社として自身の想いを全面に打ち出した経営をしていくべきです。

なぜなら、後継経営者以外に責任がとれる存在は、その会社にはいないのですから。

そんな後継経営者が増えれば「覚悟が足らない」という人も少なくなるはずです。