バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
非常に寒くなってきましたね。
コロナ禍で手洗いが習慣化した効果か、この二年間は風邪をひくことがありませんでした。
数年前から家族全員ヤクルトを毎朝飲んでいるせいか、それ以前に何度か感染したインフルエンザにかかっていません。
事前の対策で防げるものが多いことに気づく今日この頃です。
さて本日は、会社の所有と経営について。
中小企業における「オーナー」の存在
私は、後継者イノベーションクラブというコミュニティを運営しています。
今月の月例勉強会のテーマが、事業承継における株の承継についてでした。
ディライト株式会社の齋木修次先生を講師にお迎えしました。
承継時の株に関する対策は早ければ早いほどいいのは当たり前。
しかし、関係者の感情とお金が絡むのでややこしい。
後継者の立場からすると、親であっても、血縁関係のない先代であっても、目上の人には切り出しにくい。
勉強会の参加者一人ひとりの状況を詳しく聞いたわけではありませんが、真剣な顔が若干深刻な表情に映る後継社長の方もちらほら。
講師からは、最低でも50%超、できれば67%、理想的には100%という話がありましたが、理想からはほど遠い所有比率で承継した方が多いようでした。
私にも同様の経験があります。
2014年に前職で血縁関係のない創業者から社長に指名されました。
就任当時は、10%も持っていませんでした。
血のつながりもないし、そもそも引き継いだ会社は先代からの預かり物。
自分が経営している間に規模を大きくして、次の誰かに引き継ぐことが使命だと思っていたので、いわゆる所有と経営は分離していていいと当初は考えていました。
しかし、アメリカのプロ経営者でもあるまいし、中小企業においては持株比率は影響力そのもの。
何をやるにしてもオーナーの顔がチラつきます。
それでも「俺が経営者」とばかりにリーダーシップを発揮していきましたが、最終的にはオーナーである創業社長と意見が合わなくなり、後継社長を辞めることになりました。
辞める時点では、20%くらいの株は持っていましたが、結局は何もないのと同じでした。
外面がいい創業社長
このような経験を経て、2019年に起業しましたが、現在は100%の所有。
現在は、自分らしく経営できています。
そんな私も将来は、このシンクシフトという会社を誰かに託す必要があります。
現在の心境としては、社長を退くときに会長などで残る気はさらさらありません。
すべてを託せる人を見出すことも、これからの仕事の一つです。
一般的に、創業社長は、会社を自分の所有物だと思っています。
形式的には社長を譲り、後継者にいくらか株を持たせたところで、創業社長は自身の影響力を保持したいと思っているはず。
経験上、外面がいい創業社長ほど、承継後も“院政”を敷いています。
このような創業社長は外面がいいので、社内外から責められるのは後継社長。
これに負けていては経営者失格ですが、悩んでいる後継社長をたくさん見てきました。
株式の承継対策はすぐにでも
立場が変わって、私も今は創業社長。
将来、同じ感情が芽生えるはず。
そうならないためにも、引退するときには所有権を一切手放すつもりです。
それだけ中小企業の経営にとって、所有と経営の一致は不可欠なものだと思えるからです。
ただ、月一でご馳走してもらえる程度の関係性は維持したいものですが…(笑)
株式の承継対策は今からでも遅くありません。
いずれにしても中長期での対応が必要です。
そのためにも後回しにせず、今日からできることに着手しましょう!