バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。

オリンピックが始まりました。

日本のメダルラッシュは観ていて気持ちいいですね。

リオで負けて、東京でリベンジを果たす選手のコメントを聴くと泣けてきます。

どんな想いで5年間を過ごしてきたのか、に非常に興味があります。

頑張ればメダルを取れるわけではなく、ただ、メダルを取った選手は間違いなく血のにじむような努力をしているはず。

ビジネスも結果を出してこそ、その努力が報われるということを改めて認識させられました。

今日は、後継社長のしがらみについて。

「しがらみ」を漢字で書くと?

ところで、この「しがらみ」を漢字で書くことはできますか?

しがらみは「柵」と書きます。

改めて意味を調べてみると、

⑴水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの。

⑵引き留め、まとわりつくもの。じゃまをするもの。

多くの後継社長が感じているものは、⑵になります。

私自身も後継者時代は、たくさんのしがらみに悩まされてきました。

先代社長や古参の社員、取引先に至るまで。

ただ、本当にそれらは「しがらみ」なのでしょうか?

変えてはいけないとタブー視しているのは誰なのか?

当社のお客さまである後継社長のなかには、自分の個性を押し殺して、先代以前の会社の方針を守り抜くことが、後継者としての仕事として捉えている人も少なくありません。

かくいう私も、後継者として自分のカラーを出した経営をしたいと思いつつも、変えてはならないとタブー視していたこともいくつかありました。

その一つが、先代から受け継いだ経営理念でした。

就任一年目は、そこに触れずにいたのですが、ある方から「(経営理念が)浅野さんらしくないね」という指摘を受けました。

間髪入れず「それは変えられない」と答えた自分がいましたが、その指摘から数日間このことが頭から離れませんでした。

そこで、就任2年目に入る直前に、経営理念を変更するという決断をしました。

経営理念を変えることよりも、それを先代社長に報告することの方が勇気がいることでした。

先代社長への報告の際、実際にはほんの10秒ほどの沈黙が、非常に長く感じられましたが、最後は「社長が決めればいい」と言ってもらいました。

それから間もなく経営理念を刷新しました。

この時に学んだことは、しがらみは自分自身がつくり出しているものだということ。

相手の問題ではないということ。

自らの思い込みのなかで、変革のハードルが高いものをしがらみに置き換え、相手のせいにしているだけ。

変えようと思っていても実際に変えられないものもたくさんあります。

ただ、変えるアクションをしないまま、それをしがらみだと言って逃げていては何も変えられません。

後継者の皆さんには、目の前に存在する、そのしがらみが本当にしがらみなのか、考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。