バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
東京は、昨年に続き、緊急事態宣言下でのゴールデンウィークとなりました。
昨年のこの時期は、新型コロナウイルスが得体の知れないもので恐怖心もあったせいか、宣言下での外出規制は効果があったように思います。
一年経過して、昨今の環境に対する“免疫”ができてしまったのか、電車の混雑も街なかの人通りもコロナ前と変わらない様子です。
まだまだ先が見えにくく不安が拭えない状況ですが、「ジタバタしても状況は改善しない」と自分に言い聞かせ、行政からの要請を守りながら自分たちのできることをするしかないですね。
今日は、事業承継後における新規事業の成功に最も重要なことについてお伝えいたします。
新規事業開発で一番重要なもの
後継経営者の支援をしていて、必ず出てくるテーマが新規事業の開発。
ビジネスモデルをカタチにするだけでも時間がかかるのはもちろん、一朝一夕に収益化はできないばかりか、途中で立ち消えになってしまうものさえあります。
戦略、ビジネスモデル、商品開発、販路開拓、組織体制など、新規事業の開発にはいくつもの意思決定事項がありますが、そのなかで一番重要なものは何なんでしょうか?
以前お食事に誘っていただいたことがある、上場企業の経営者から聞いたことが忘れられません。
その経営者は起業する前、大手コンサルティング会社で事業開発のコンサルタントとして活躍されていました。
○○商事、▲▲物産など、ビジネスパーソンなら誰もが知っている大手商社から仕事を依頼されていたようです。
日本の最高学府といわれる大学出身の超エリートを送り込み、予算は2年で3億円。
結果は、その大部分が不発だったそうです。
うまくいかない理由はさまざまだと思います。
ただ、この元コンサルタントの経営者が最後に印象的なことをおっしゃいました。
「絶対にやり切ろうという執念がないんだよね」と。
さらにもう一言。
「失敗したら会社をつぶれると本気で思っている中小企業の“オヤジ”が一番強い!」とも。
その大手商社の新規事業開発は、2年で3億円を使い切り、事業が立ち上がらなくてもあっさりしたものだったそうです。
これは完全に偏見ですが、超大手企業の3億円は、中小企業の30万円と同等の感覚なのかもしれません。
次から次へと優秀な社員が担当してもなかなかうまくいかない。
一方で、「これにかける!」という執念も持った中小企業の“オヤジ”は、ちょっとやそっとではあきらめない。
まさに“必死”ですね。
中小企業の“オヤジ”は、この事業がダメになれば「必ず死んでしまう」というほどの、後のない状況で事業に取り組んでいるということです。
後継経営者支援でも
後継経営者の新規事業開発においても、この教訓が当てはまります。
執念を持って取り組むのと取り組まないこととでは、結果は違ってきます。
では、その執念はどこから生まれるのでしょうか?
それは、その事業が、後継者自身が本当にやりたいこと、後継者自身の信念がその事業に反映されているか否かです。
後継経営者の新規事業開発にとって、最も重要なことは、後継者自身が最後までやり切れる事業になっているか、ということです。
後継経営者は、先代社長から引き継いだ事業があります。
そこに後継者がやりたい新規事業を乗せていくには、順序やコツがあります。
それは、またの機会にします。
後継経営者の皆さんの新規事業の成功を祈念しています。