バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
今回は、後継経営者の方に向けた経営基礎講座として、私がおすすめしている幹部面談の実践方法をお伝えします。
組織を強くするためには組織の上(=幹部層)から社長の代弁者を増やすことが重要です。
『後継経営者に必須!幹部とのベクトルを合わせる方法』では、幹部合宿をご紹介しました。
合宿以外にも私が実践してきた取り組みはいくつかあります。
今回の記事では幹部と個別にコミュニケーションをとる手法をご紹介します 。
ご紹介する事例を参考にしながら、ご自身のやり方を模索していただければ幸いです 。
メッセージは社長の価値観・判断基準
今回ご紹介するのは月に1回、1時間行う『幹部面談』です。
面談で伝えるのはあくまで私の価値観・判断基準が中心です。
ただ、前回ご紹介した『幹部合宿』よりも『幹部面談』のほうが、幹部個人にフォーカスを当てているので内容はより狭く濃くなります。
私自身の考え方をより一層ストレートに伝えることで共通認識を持てるようにします。
期待の言語概念化
幹部リーダー面談は、私が年度始めに渡す「期待」に基づいて行われます。
人によって内容は異なりますが、以下はある幹部の「期待」の実例です。
- 「今していることが成果に直結するか?」を常に自分に問いかけ、自分の仕事に優先順位をつけ成果に直結するものに全身全霊で注力すること
- 自分を客観視することで自分にできることとできないこととを明確にし、自分にできないことを素直に認め他人の力を借りられる人間になること
- 私との衝突を恐れず、自分の想いや意見を明確に表現すること
「期待」とは、改善要望の裏返しです。
改善が必要な点を「指摘」として伝えるのではなく、「期待」の言葉に変換して伝えます。
ご覧の通り、定性的で多少良くなってもさらに上を目指せる内容にして何度も繰り返し伝えます。
言語概念化の重要性
「いつも同じことを言っているのに社員がそのとおりに動いてくれない……」
「社員が自分の考え方をなかなか理解してくれない……」
経営者からこのようなボヤキをよく聞きます。それに対し、私は「社長の想いや考え方を言語概念化していますか?」と続けます。
経営者は、あらゆる場面で自身の想いや考え方を社員に伝えます。経営者自身は毎回同じことを繰り返し話しているつもりになっています。
しかし、聞き手側の社員は「社長は言っていることがコロコロ変わる」という反応を示します。
気分の良し悪し、体調の良し悪し、その他様々な要因によって同じことを言われていてもその時々で解釈は異なるものです。
このような事態が生じないように、「期待」を紙に書いて伝えるのです。
期待を言語概念化することで「言った、言っていない」の問題を避け、こちらが求めているものを明確に伝えることができるのです。
今回は、幹部と個別にコミュニケーションをとる手法にとして『幹部面談』をご紹介しました。
ぜひ後継経営者が幹部との関係性を深める際にお話しした内容をご活用いただけると嬉しいです。