バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
今回は、後継経営者の方に向けた経営基礎講座として、幹部とどのように意識やベクトルを合わせるのか、その具体策をお伝えします。
『後継経営者が必要とする幹部の条件』で、強い組織をつくるためには組織の上(=幹部層)から社長の代弁者を増やすことが重要であることを説明しました。
しかし経営幹部との関係性について、以下のようなご相談をよくいただきます。
- 「ミーティング時間を確保しているけれど、議論がかみ合わない」
- 「同じ事象に対して同じ目線で話ができずに、応急処置的な議論ばかりが繰り返される」
- 「会社の体質改善につながるような本質的な議論ではなく、方法論ばかりが論じられる」
これらは「共通認識がとれていないこと」、「お互いの想いを共有できていないこと」が原因です。
今回は後継経営者時代に私が実践してきた、幹部とのコミュニケーション手法についてご紹介します。
幹部合宿でベクトルを合わせる
当時経営していた会社は50人規模の会社でした。
ですが、将来的にその会社を200人、300人という規模にしていくことを想定し、私と一般社員の間にいる幹部や管理職には社長と同じ価値観・判断基準を持ってほしいと考えていました。
同じ価値観と判断基準を持ってもらうために、何をしていたかというと、年に2回、2泊3日で幹部合宿を行っていました。
合宿では「来月の売上目標を達成するためにはどうすればいいか」という話は一切しません。
私の価値観と判断基準を伝えることにフォーカスします。
共通認識を持つための定義づけ
「良い会社」という言葉を聞いたとき時、皆さんはどのようなイメージを持たれされますか。
「良い会社」を目指すこと自体に反対意見はないはずですが、人それぞれ考える「良い会社」が異なれば、目指す方向も当然異なってきます。
例えば、当時私と幹部で「良い会社」を次のように定義しました。
- 社員一人ひとりが、理念を追求し続けている会社
- お客さまを向いて仕事をしている会社
- それぞれの役割で輝きを放ち、高収益を実現している会社
その他「お客さま満足」や「優秀な人」など解釈が異なる言葉は多く存在します。
これらの表現に対して共通認識を持てず解釈が異なる状態ないままでは、議論の軸が定まりません。
あいまいな表現に定義づけを行い、社長の価値観や判断基準を伝えることで共通認識を持つことができます。
経営幹部は人生のパートナー
合宿では、同じ時間を過ごすこと自体にも大きな意味があります。
真剣な議論をした後にお酒を交えながら話をすることで、素の自分を知ってもらうことができます。
幹部が社長と同じ判断基準を持つことはもちろんのこと、単に仕事の枠上の関係を超えた人生のパートナーとして双方向で感じ合えるようになる信頼し合える存在なれると経営チームは強くなります。
「確信」と「安心」
人の気持ちは変わるものです。
業績が良いとき時ほど人は集まってくるし、傾けば離れていきます。
社長は孤独です。孤独に耐えるられるような存在であるべきです。
しかし、人間誰しも一人では弱くなります。
孤独な社長に「居てくれるだけで安心できる幹部」がいると、社長が意思決定をする際に「一歩踏み出す勇気」が生まれます。
根本的な部分で社長と幹部がわかり合える握り合える関係性になったとき、社長は「確信」を幹部は「安心」を得ることができます。
合宿以外にも幹部とのコミュニケーションの仕掛けはいくつかあります。
そちらについての詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。