バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。
今回は、後継経営者の方に向けた経営基礎講座として、後継経営者が目指すべき経営者像について考えてみたいと思います。
オールマイティな創業者
創業者はオールマイティという言葉をしばしば耳にします。
0から1を生み出す強力なバイタリティ、会社を軌道に乗せるための絶対的な商品知識と営業力、カリスマ的なリーダーシップ、攻めと守りの絶妙なバランス感覚、いかなる困難をも乗り越える超ポジティブ思考など、創業者の偉大な点を数えあげればきりがありません。
皆さんは創業者にどのようなイメージをお持ちですか。
今回は、一般的にオールマイティと形容されることの多い創業経営者とその後を継ぐ後継経営者の比較から、それぞれの経営スタイルを掘り下げ、その本質を考えていきます。
創業期と承継期
創業期は何もないところから少人数で始めるので、創業者は会社におけるすべての業務に携わっています。それが、オールマイティと言われる所以です。
突出した能力とパワーを持つ社長がピラミッドの頂点に立ち、1人で会社をグイグイ引っ張り、ドンドンと大きくしていく。会社が大きくなれば、やがて組織ができます。
後継者はその組織のうちの、いずれかのセクション長から選ばれることがほとんどです。彼らはそのセクションの実務に精通していますが、会社における業務全般を把握できているかといえば、そうではありません。
自身の専門分野以外のマネジメント層の力を借りなければなりません。創業者ならばトップダウンで末端の社員まで指示を出すことも可能ですが、後継経営者は同じやり方を目指せば失敗します。先代の背中を追って、オールマイティを目指してはいけない。
後継経営者がなすべきことは、経営チームをつくることです。
経営チームをつくるということ
私が後継経営者として、事業承継後に軌道に乗れたひとつの要因として、経営チームを構成したということが挙げられます。
創業者はすべて自分で決めて、こと細かに社員に指示を出し、また自らそれをフィードバックします。一方で、2代目経営者は社員の意見を引き出した上で意思決定をし、実行面でも組織として機能させることが重要となります。
当社もそれぞれのセクションに、私よりも秀でたスキルや豊富な経験を持つ社員がいて、活躍してくれました。後継経営者は、それぞれのスキルを活かすことで、チームとしての強さを発揮するべきですし、サポートしてくれる仲間が必要です。
継いでからわかる「経営」のこと
事業承継には相当の時間を要することがわかってはいても、実際に準備に十分な時間を取れている企業は少ないものです。大抵の後継経営者は継いでから“経営”を目の当たりにします。当社が支援している経営者からも、「もっと早くに知っておきたかったことがたくさんある」という本音を耳にします。
本来なら事業承継前に、「経営」を勉強し、その一端にでもふれるべきですが、事業承継後でも遅くはありません。
私たちの支援は後継経営者に特化しておりますので、後継経営者の経営がより成功するよう、私たちの知見やノウハウをお伝えする場を増やしていかねばと考えております。